なぜ成蹊大学はMARCHになれないのか?学歴フィルターからその理由を追ってみた。

成蹊大学_学歴フィルター

 

Yahoo知恵袋に下記のような質問がありました。

 

成蹊大学って学歴フィルターに引っかかりますか?

知恵袋

 

成蹊大学」は、東京都武蔵野市に本部を置く私立大学で、

 

「経済学部」「経営学部」「法学部」「文学部」「理工学部」の5学部があります。

 

入学難易度はそこそこ高く、首都圏の私立大学としては準難関レベルという位置付けですが、

 

どうしてもMARCHに比べると地味なイメージがあります

 

就活においても同様で、MARCHと比べても成蹊大学の就活生は学歴フィルターで苦労している印象があります。

 

そんな成蹊大学ですが、就活シーズンになるとよく話に挙がるのが、「成蹊大学は学歴フィルターを通過できるのか?」という疑問です。

 

この記事では、成蹊大学の就職実績を分析し、学歴フィルターを乗り越えることが可能なのかどうか調査しました。

 

また、成蹊大学がなぜMARCHになれないのか、学歴フィルター以外の観点からも検証を試みました。

 

目次

成蹊大学は大学群「成成明学獨國武」に属している

まず、成蹊大学のレベルについて確認しておきましょう。

 

成蹊大学の偏差値は45~60です。

 

理工学部が若干低めの偏差値で、その他の学部は少し高めの偏差値傾向があります。

 

成蹊大学は大学群「成成明学」もしくは「成成明学獨國武」に属しています。

 

関西圏であれば「関関同立」と「産近甲龍」の間くらいに位置している、と言えばイメージしやすいでしょうか。

 

→大学群の細かいランキングについては、下記記事にまとめてありますのでご参照ください。

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成蹊大学の就職率は96.5%

そんな成蹊大学ですが、就職希望者に対する就職者の割合は96.5%(2021年度実績)となっています。

 

年度によって若干の違いはあるものの、95~98%の間で推移しており、就職率は高いと言えるでしょう(出典:成蹊大学公式サイト

 

数字上はかなり就職率が高いように見えますが、実際にどの企業に就職しているか、が重要となります。

 

では、成蹊大学の卒業生はどの企業に何人くらい就職しているのでしょうか。

 

成蹊大学は難関企業だと学歴フィルターに引っ掛かる可能性大

週刊誌「サンデー毎日」に掲載されていた「有名企業284社への就職実績」を集計し、

 

成蹊大学の卒業生のうち、有名企業284社に採用された人数を企業別に並べました。

会社名 成蹊大の
採用人数
明治安田生命保険 9
SCSK 8
日立システムズ 8
トランスコスモス 7
三菱電機 6
あいおいニッセイ同和損保 6
OKI 5
凸版印刷 5
積水ハウス 4
大和ハウス工業 4
SUBARU 4
ホンダ 4
千葉銀行 4
みずほフィナンシャルグループ 4
アフラック生命保険 4
NECソリューションイノベータ 4
メイテック 4
NEC 3
日立製作所 3
スズキ 3
横浜銀行 3
大和証券グループ 3
三井住友海上火災保険 3
日本生命保険 3
JR東海 3
ソフトバンク 3
ドコモグループ 3
大林組 2
清水建設 2
長谷工コーポレーション 2
ミサワホーム 2
キヤノン 2
日本IBM 2
テルモ 2
日本マクドナルド 2
三井住友銀行 2
三井住友信託銀行 2
三菱UFJ銀行 2
りそなグループ 2
岡三証券 2
損保ジャパン 2
東京海上日動火災保険 2
JCB 2
JR東日本 2
日本通運 2
日本郵便 2
朝日新聞社 2
ALSOK 2
大塚商会 2
サイバーエージェント 2
TIS 2
日立ソリューションズ 2
富士ソフト 2
マルハニチロ 1
五洋建設 1
セキスイハイム 1
西松建設 1
アサヒ飲料 1
伊藤園 1
キューピー 1
森永乳業 1
日本製紙 1
協和キリン 1
ENEOS 1
三菱マテリアル 1
キーエンス 1
京セラ 1
富士通 1
ミネベアミツミ 1
村田製作所 1
IHI 1
三菱重工業 1
マツダ 1
コニカミノルタ 1
セガ 1
タカラスタンダード 1
ヤマハ 1
日本出版販売 1
セブンイレブンジャパン 1
静岡銀行 1
農林中央金庫 1
福岡銀行 1
東海東京フィナンシャルHD 1
野村証券 1
かんぽ生命保険 1
住友生命保険 1
第一生命保険 1
アコム 1
NTT東日本 1
時事通信社 1
NHK 1
東京電力 1
インテック 1
Sky 1
スミセイ情報システム 1
セコム 1
富士通エフサス 1
楽天グループ 1

 

この表を分析していきます。

 

有名企業284社に入社できる成蹊大生は約14.5%

一覧の採用人数を集計すると217名でした。

 

一方、成蹊大学公式サイトを見ると、就職した学生数は過去5年間、1,500名前後で推移しています。

 

つまり、成蹊大学の卒業生のうち、有名企業284社に就職できた人数の割合は14.5%(217/1,500)となります。

 

残りの85.5%は有名でない企業にしか就職できなかったということになります。

 

この時点で、成蹊大学の就活生はかなり厳しい学歴フィルターにさらされていると言えるのではないでしょうか。

 

成蹊大学は大手電機機器メーカーの学歴フィルターに引っ掛かる?

成蹊大学の就職先一覧を見ると、日立システムズ(8名)、NECソリューションイノベータ(4名)、日立ソリューションズ(2名)のように、大手電機機器メーカーの子会社が登場します。

 

では、それらの親会社に対する就職状況はどうなっているのでしょうか。

 

早慶・MARCHと成蹊大で、就職実績を比較してみましょう。

 

<大手電機機器メーカーに対する採用人数比較>

早稲田 慶応義塾 法政 明治 青山学院 中央 成蹊
富士通 60 35 15 24 13 22 1
日立製作所 42 31 9 18 4 13 3
パナソニック 22 19 7 11 6 16 0
ソニーグループ 40 43 3 8 0 2 0
NEC 58 31 24 26 18 29 3

 

この表を見ると、早慶⇔MARCH間、またMARCH⇔成蹊間で採用人数に大きな落差があることがわかります。

 

早慶とMARCHの間、MARCHと成成明学の間に学歴フィルターが存在する可能性が示唆されます。

 

大手電機機器メーカーは毎年数百人もの新卒を採用するにも関わらず、

 

成蹊大からはほとんど採用されていません。

 

その代わり、前述の通り日立システムズのような子会社には一定人数が採用されています

 

成蹊大学の就活生が狙うべき企業は、学歴フィルターの厳しい大手電機機器メーカーではなく、比較的学歴フィルターが緩いとされるそれらの子会社なのかもしれません。

 

成蹊大学は大手SIerの学歴フィルターに引っ掛かる?

次に、SIerに対する就職実績を見てみましょう。

 

SCSK(8名)、トランスコスモス(7名)、メイテック(4名)のように、準大手~中堅SIerへの採用人数が多いことがわかります。

 

一方、超大手と言われる「NTTデータ」「日本IBM」「野村総合研究所」への採用実績はほとんどありません

 

ここで、首都圏のSIerに強い東京理科大と成蹊大の主なSIerに対する就職実績を比較してみましょう。

 

<SIerに対する採用人数比較>

東京理科大 成蹊大
NTTデータ 24 0
日本IBM 16 2
野村総合研究所 16 0
SCSK 23 8
日立システムズ 7 8
トランスコスモス 1 7
メイテック 6 4
富士ソフト 6 2

 

やはり超大手3社への採用となると、東京理科大と成蹊大では天と地ほどの採用人数の差があります。

 

一方、中堅SIerへの採用では成蹊大も頑張っていることがわかるかと思います。

 

電気機器メーカーと同様、成蹊大学の就活生は超大手のSIerを狙おうとすると学歴フィルターに引っ掛かるリスクがあるため、

 

無理をせず中堅SIerに照準を定めた方がよいのかもしれません。

 

成蹊大学はメガバンクの学歴フィルターに引っ掛かる?

最後に、銀行に対する就職実績を見ていきましょう。

 

有名企業284社への就職実績を見ると、千葉銀行(4名)、横浜銀行(3名)と地銀に対する就職実績がありますが、メガバンクへの採用はほとんどありません。

 

ここで、メガバンクに対する採用人数を早慶・MARCHと成蹊大で比較してみました。

 

<メガバンクに対する採用人数比較>

早稲田 慶応義塾 法政大 明治大 青山学院 中央 成蹊
三菱UFJ 43 69 3 13 8 11 2
みずほ 35 51 2 20 14 13 4
三井住友 47 43 11 18 15 10 2

 

成蹊大からもわずかながらメガバンクへの採用されていますが、早慶やMARCHと比べるとやはりかなり少ない結果となりました。

 

正直なところMARCHと成蹊大では偏差値的にも大きな違いはなく、

 

学生の基礎能力にそこまで大きな違いがあるとは思えません。

 

にもかかわらず採用人数でここまで大きな差が生まれてしまうのは、やはり学歴フィルターの存在を疑わざるを得ません。

 

→メガバンクの学歴フィルターに関する細かい分析については下記記事が参考になるかもしれません。

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なぜ成蹊大学はMARCHになれないのか

さて、ここからは「なぜ成蹊大学はMARCHのようなメジャーな大学になれないのか?」という点を考えていきます。

 

理由①:成蹊大は単科大学だった

成蹊大学は、1949年に政治経済学部だけの単科大学として誕生し、その後13年間、学部を増やさずに運営してきました。

 

1962年に工学部、1965年に文学部が誕生し、1968年には政治経済学部を分割し、経済学部と法学部が誕生しています。

 

経営学部に至っては2020年に新設されたばかりです。

 

一方、MARCHは新設された時点で総合大学として誕生しています

 

総合大学と単科大学では卒業生の数も大きく違いますし、そもそも単科大学は学問の選択の幅が狭く、限られた学生しか入ってきません。

 

終戦直後から高度成長期の間、成蹊大学はずっと単科大学であったために知名度や影響力を伸ばすことができず、MARCHとの差が開いてしまった、というわけです。

 

理由②:MARCHには2部(夜間部)があった

MARCHの中で、立教大学以外の明治・中央・青山学院・法政には2部(夜間部)がかつてありました(現在は廃止)。

 

夜間部というのは、昼間に仕事をして夜間に大学で勉強する、という基本的にはあまり裕福でない人向けのシステムだったのですが、

 

現在、MARCHの夜間部に通っていた人達が就職して日本の多くの企業の中枢を担っています。

 

そのため、夜間部がなかった成蹊大学と比べるとMARCHの影響力は圧倒的に大きく、成蹊大学がMARCHに追い付けない理由の一つと考えられています。

 

成蹊大学はどうしても裕福な家庭の学生が入学するというイメージを払拭できずにおり、総合大学として一皮むけるためにはもう少し時間がかかるのかもしれません。

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