Yahoo知恵袋に下記のような質問がありました。
学歴フィルター42校と言うものを聞いたのですが、その大学ならどんな学部でもフィルターにかからないのですか?
「学歴フィルター42校」というのは、「就活で学歴フィルターに引っ掛からない大学42校」という意味です。
この42校に在籍していれば学歴フィルターに引っ掛からない、つまり「就活を有利に進めることができる」とされています。
この42校の情報はインターネット上で10年近く前に登場して以来、毎年就活シーズンになると話題に上がります。
しかし、この42校は偏差値もかなりバラバラで、その信ぴょう性に疑問符を付けている人もいます。
また、作られてから時間が経過しており、その間に各大学の偏差値や就職率にも変化が出ています。
実際のところ、この42校が学歴フィルターに引っ掛かることはないのでしょうか?
有名企業の採用実績を分析することによって、42校の学歴フィルター有無について考察しました。
学歴フィルター42校とは?
まず、学歴フィルター42校に該当する大学を見ておきましょう。
【旧帝大:7校】
北海道大学、東北大学、東京大学、名古屋大学、京都大学、大阪大学、九州大学
【関東の国公立大学:13校】
一橋大学、筑波大学、東京工業大学、東京外国語大学、お茶の水女子大学、東京医科歯科大学、電気通信大学、東京都立大学、東京農工大学、横浜国立大学、横浜市立大学、埼玉大学、千葉大学
【関西・東海地方の国公立大学:6校】
大阪公立大学(大阪府立大学・大阪市立大学)、神戸大学、大阪外国語大学、奈良女子大学、名古屋市立大学
【関東の私立大学 12校】
慶應義塾大学、早稲田大学、上智大学、学習院大学、明治大学、東京理科大学、青山学院大学、中央大学、立教大学、芝浦工業大学、法政大学、国際基督教大学(ICU)
【関西の私立大学 4校】
関西大学、関西学院大学、立命館大学、同志社大学
確かに、誰もが名前を知っている偏差値の高い大学が並んでいますね。
学歴フィルター42校分析①:偏差値を比較してみる
まず、この42校を偏差値順に並べてみます。
大学名 | 偏差値(最低学部) |
---|---|
東京大学 | 67.5 |
国際基督教大学(ICU) | 67.5 |
一橋大学 | 65 |
東京工業大学 | 65 |
京都大学 | 62.5 |
慶応義塾大学 | 60 |
早稲田大学 | 60 |
東京外国語大学 | 60 |
お茶の水女子大学 | 57.5 |
大阪大学 | 57.5 |
東京理科大学 | 55 |
電気通信大学 | 55 |
名古屋大学 | 55 |
横浜国立大学 | 55 |
上智大学 | 55 |
東北大学 | 55 |
神戸大学 | 55 |
同志社大学 | 55 |
九州大学 | 55 |
北海道大学 | 55 |
明治大学 | 55 |
立教大学 | 55 |
学習院大学 | 55 |
筑波大学 | 55 |
東京医科歯科大学 | 52.5 |
大阪公立大学 | 52.5 |
青山学院大学 | 52.5 |
東京都立大学 | 52.5 |
中央大学 | 52.5 |
法政大学 | 52.5 |
横浜市立大学 | 52.5 |
芝浦工業大学 | 50 |
東京農工大学 | 50 |
関西学院大学 | 50 |
立命館大学 | 50 |
千葉大学 | 50 |
関西大学 | 50 |
名古屋市立大学 | 50 |
奈良女子大学 | 47.5 |
埼玉大学 | 47.5 |
大阪外国語大学 | 廃止 |
集計にあたっては医学部は除外し、全学部の最低値を比較しました。
42校の偏差値のうち、最高値は東大と国際基督教大の67.5で、最低値は奈良女子大と埼玉大の47.5です。
「学歴フィルター42校」とひとくくりにされていますが、その偏差値は20も離れていますね。
偏差値だけでなく、大学の知名度から考えても42校の間に大きな差があるため、これら42校の中に学歴フィルターが全く存在しないというのはちょっと考えにくいかと思います。
例えば、メガバンクの採用においてはGMARCHより下の就活生は学歴フィルターに引っ掛かる可能性があります。詳細については下記記事を参考にしてみてください。
また、メガバンク以外の業種についても学歴フィルターの有無を調査しているので、こちらも参考になるかと思います。
学歴フィルター42校分析②:有名企業への就職率を比較してみる
次に、有名企業への就職率を42校で比較してみましょう。
(出典:東洋経済オンライン 「有名企業への就職に強い大学トップ200校」)
大学名 | 有名企業就職率 |
---|---|
東京大学 | 非公開 |
お茶の水女子大学 | 非公開 |
東京医科歯科大学 | 非公開 |
一橋大学 | 56.7% |
東京工業大学 | 54.0% |
慶応義塾大学 | 40.9% |
東京理科大学 | 36.3% |
電気通信大学 | 33.9% |
大阪大学 | 33.6% |
早稲田大学 | 32.9% |
名古屋大学 | 31.9% |
横浜国立大学 | 30.4% |
京都大学 | 29.8% |
上智大学 | 29.2% |
東北大学 | 27.7% |
芝浦工業大学 | 27.5% |
神戸大学 | 27.3% |
同志社大学 | 26.6% |
九州大学 | 26.3% |
北海道大学 | 24.2% |
明治大学 | 24.2% |
東京外国語大学 | 23.3% |
国際基督教大学(ICU) | 23.1% |
青山学院大学 | 22.1% |
東京農工大学 | 21.4% |
立教大学 | 21.2% |
関西学院大学 | 20.4% |
東京都立大学 | 19.4% |
中央大学 | 19.3% |
学習院大学 | 18.0% |
立命館大学 | 18.0% |
法政大学 | 16.7% |
千葉大学 | 16.0% |
筑波大学 | 15.2% |
奈良女子大学 | 14.3% |
関西大学 | 13.4% |
横浜市立大学 | 13.0% |
名古屋市立大学 | 11.3% |
埼玉大学 | 11.0% |
大阪外国語大学 | 廃止 |
大阪公立大学 | – |
表を見れば一目瞭然ですが、42校の中でも有名企業への就職率が大きく異なっていることがわかります。
1位の一橋大学が56.7%なのに対し、最下位の埼玉大は11.0%です。
「学歴フィルター42校」とひとくくりにするのであれば、もう少し就職率が近い大学を集めた方が良い気がします。
「シン・学歴フィルター40校」を作ってみた
「学歴フィルター42校」が作られたのは恐らく10年近く前だと思われます。
既に廃校したり統合して無くなってしまった大学も含まれているため、最新の大学偏差値や就職率を鑑みて「シン・学歴フィルター40校」を作ってみました。
あなたの出身大学は含まれているでしょうか?
【旧帝大:7校】
北海道大学、東北大学、東京大学、名古屋大学、京都大学、大阪大学、九州大学
【関東の国公立大学:11校】
一橋大学、筑波大学、東京工業大学、東京外国語大学、お茶の水女子大学、電気通信大学、東京都立大学、東京農工大学、横浜国立大学、横浜市立大学、千葉大学
【東北・関西・東海地方の国公立大学:6校】
国際教養大学、大阪公立大学、神戸大学、名古屋工業大学、豊橋技術科学大学、九州工業大学
【関東の私立大学 12校】
慶應義塾大学、早稲田大学、上智大学、学習院大学、明治大学、東京理科大学、青山学院大学、中央大学、立教大学、芝浦工業大学、法政大学、国際基督教大学(ICU)
【関西の私立大学 4校】
関西大学、関西学院大学、立命館大学、同志社大学
ポイント①:廃校・統合によって消えた大学は除外
旧学歴フィルター42校のうち既に存在しない大学があるため、除外します。
・大阪府立大学・大阪市立大学 →大阪公立大学に統合
・大阪外国語大学 →大阪大学に統合されたため廃止
ポイント②:東京医科歯科大学は医科系単科大学のため除外
そもそもなぜ東京医科歯科大学が42校の中に入っていたか不明ですが、東京医科歯科大学は医科系の単科大学であり、卒業生のほとんどは医師・歯科医師として就職します。
学歴フィルター42校は一般企業に対する就活をターゲットとしていたため、東京医科歯科大学は対象外と判断し除外しました。
ポイント③:偏差値・就職率が低い大学はより高い大学と入れ替え
入学偏差値や有名企業への就職率を考慮し、下記の通り4大学を追加し、3大学を外すことにしました。
OUT:奈良女子大学、名古屋市立大学、埼玉大学
今回新たに追加した4大学(国際教養大学、豊橋技術科学大学、名古屋工業大学、九州工業大学)は、いずれも地方にある単科大学です。
4大学ともに有名企業への就職率がかなり高いため、今回追加することにしました。
4大学の偏差値と就職率を見てみましょう。
大学名 | 偏差値(最低) | 有名企業就職率 |
---|---|---|
国際教養大学 | 67.5 | 35.2% |
名古屋工業大学 | 52.5 | 34.9% |
豊橋技術科学大学 | 50.0 | 28.0% |
九州工業大学 | 50.0 | 32.6% |
今回追加した4大学の中で、突出しているのが「国際教養大学」です。
国際教養大学は2004年に創立された公立大学で、キャンパスは秋田県秋田市にあります。
ほとんどの授業が英語で行われたり、卒業要件に「最低1年間の海外留学」が含まれていたり、かなり特色のある大学と言えます。
入学難易度としても東京大学に匹敵すると言われるくらい難しく、キャンパスが秋田にありながら多くの受験生を集めている大学です。
国際教養大学は例外としても、今回追加した4大学はいずれも地方にキャンパスがあり、首都圏の大学と比べるとどうしても受験者数が少なくなりがちなので、偏差値的には低くなる傾向があります。
一方、4大学とも有名企業への就職率は高く、就職マーケットからは有望視されている大学と言えるでしょう。
そして、「奈良女子大学」「名古屋市立大学」「埼玉大学」の3校は残念ながら外すことにしました。
偏差値と有名企業への就職率を考慮すると、今回追加した4大学にいずれも劣っているためです。
補足:なぜ広島大学は入っていないのか?
旧学歴フィルター42校の中でたまに話題に上がっていたのが、「なぜ42校の中に広島大学が入っていないのか?」というものです。
広島大学は大学群「金岡千広」の一員として知られており、国立大学の中では準難関~中位あたりに位置する大学です。
「金岡千広って何?」という人は大学群をランキング付けした下記記事をチェックしてみてください。
広島大学の偏差値と就職率を調べてみると以下のようになります。
広島大学の就職率:13.9%
いかがでしょうか。
「シン・学歴フィルター40校」に入っている、金岡千広の一員である千葉大学(偏差値50、就職率16.0%)と比べると低いことがわかるかと思います。
広島大学がこの42校の中に入っていなかった理由は、単純に偏差値と就職率の問題だった、と言えるでしょう。
まとめ
「学歴フィルター42校」といっても、偏差値や就職率には大きな差があり、下位の大学は学歴フィルターに引っ掛かってしまう可能性が示唆されました。
また、旧学歴フィルター42校はかなり古い情報をベースとしているため、今回新たに「シン・学歴フィルター40校」を作成したので参考にして頂ければと思います。
ちなみに、学歴フィルターは大学単位でかけることが多く、学部単位で細かく区切ることは少ないと言われています。
各企業の人事部のリソースも限られており、学部単位で細かく就活生をふるいにかけようとすると労力がかかるためです。
例えば、早稲田大学の政治経済学部だろうがスポーツ科学部だろうが、早稲田は早稲田です。
噂では就活で無双するためだけに、早稲田のスポーツ科学部に入学した強者もいるとかいないとか…
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