JTの学歴フィルターは「旧帝大より下」?国立大からの採用が多い理由とは?

JT_学歴フィルター

 

Yahoo知恵袋に下記のような質問がありました。

 

JTって学歴フィルターあるんでしょうか?たばこ会社って落ち目に見えて人気ありますよね。

知恵袋

 

JT(正式社名:日本たばこ産業株式会社)」といえば、年間売上高が2兆円を超える巨大企業です。

 

日本の喫煙人口は下がる一方ですが、JTは定期的に実施されるたばこ価格の値上げや海外のたばこ会社のM&Aによって、たばこ事業の売上を維持しています。

 

そんなJTですが、就活においては難関大学からの採用が多く、

 

学歴フィルターの存在が疑われているという一面もあります。

 

実際のところ、JTに学歴フィルターは存在するのでしょうか?

 

採用実績から分析してみました。

 

目次

就活生が押さえておくべきJTの基本情報

採用実績を分析する前に、まずJTの基本情報について押さえておきましょう。

 

たばこなんてもう売れないし、JTって落ち目の会社なんじゃない?」と思っている人も多いかと思いますが、非常に巧妙なやり方で業績を維持している会社なのです。

 

JTの業績は非常に安定している

JTはたばこを製造・販売している企業です。

 

たばこ以外にも医薬品事業や加工食品事業を展開していますが、売上に対する割合は非常に小さく、

 

実質的にはたばこ専業の企業と言えるでしょう。

 

「たばこ」は現在こそ悪者のように扱われていますが、1960年代くらいまでは男性の喫煙率が8割を超えるなど、代表的な嗜好品として楽しまれていました。

 

近年、健康志向の高まりとともにたばこの販売量は減少し続けており、

 

1996年の3,483億本をピークに、2021年には937億本と、全盛期の1/3以下にまで減少しています

 

その一方で、JTの売上も1/3に減ったのか?と言うとそんなことはありません。

 

1996年度のJTの売上高は約2兆5,000億円でしたが、2022年度は約2兆6,500億円となっており、逆に少し増えています。

 

たばこの販売量が減ったにも関わらず売上が伸びているのは、下記2つの要因があります。

 

■ JTの業績が維持できている理由
① たばこ価格の値上げ
海外たばこ会社の買収

 

たばこ価格は少しずつ値上げされている

たばこは定期的に値上げされることで知られています。

 

たばこ価格の推移を見てみましょう。

 

この表では、代表的なたばこの銘柄である「ピース」と「セブンスター」を例に取って、価格の推移を示しています。

 

<たばこ価格の推移表>

年代 ピース〈10本入〉 セブンスター イベント
1961 40円
1969 50円 100円 たばこ税増税
1974 75円 150円
1980 90円 180円 たばこ税増税
1982 100円 200円
1983 120円 220円 たばこ税増税
1997 130円 250円 たばこ税増税
2002 140円 280円 たばこ税増税
2006 145円 300円 たばこ税増税
2010 220円 440円 たばこ税増税
2013 230円 460円
2015 260円 460円
2017 260円 500円
2018 260円 510円 たばこ税増税
2020 280円 560円

 

この表を見ると、ピース、セブンスターともに発売以来ジワジワと価格が上がっているのが分かるかと思います。

 

これがたばこの販売数が減少しているにも関わらず、売上が維持できている理由の一つです。

 

そう、理由は「たばこの単価が上昇したため」です。

 

消費税増税などのタイミングでたばこは値上げされることが多く、非常に価格転嫁がしやすいビジネスなのです。

 

JTは海外のたばこ会社を買収しまくっている

JTは海外売上比率が6割を超えており、実はグローバルな企業です

 

といっても海外のたばこ会社を一から育てたわけではなく、買収によって成長してきました。

 

JTがこれまでに買収してきた主なたばこ会社を紹介します。

 

買収した海外のたばこ会社 買収価額
2007年 ギャラハー(イギリス) 1兆7,310億円
2011年 ハガー(スーダン) 350億円
2016年 レイノルズ・アメリカン(アメリカ) 約6,000億円(米国外たばこ事業)
2017年 マイティー(フィリピン) 約1,100億円
2017年 カリヤディビア・マハディカなど2社(インドネシア) 約1,100億円
2017年 ナショナル・タバコ・エンタープライズ(エチオピア) 約490億円(保有比率70%)
2018年 ドンスコイ・タバック(ロシア) 約1,900億円
2018年 アキジグループ(バングラディッシュ) 約1,645億円

 

この表を見ると、JTが海外に活路を見出していることがわかりますね。

 

特に近年の買収先企業を見ると、中東や東南アジアなど、今後も経済発展が見込まれる開発途上国が多いです。

 

JTの新事業はあまり育っていない

JTはもともと「日本専売公社」という名前の国営企業でした。

 

バブル期にはレストラン経営、不動産事業、スポーツクラブ運営、飲料品事業などさまざまな新規事業に手を広げましたが、ほとんど失敗に終わっています

 

かろうじて飲料事業においては「桃の天然水」や缶コーヒーの「ルーツ」といったブランドが育ってきていたものの、

 

結局飲料事業自体を売却してしまいました。

 

現在はたばこ事業が営業利益の98%を占めており、ほぼたばこ専業の会社と言えるでしょう。

 

JTの学歴フィルターは旧帝大より下?

ここからは、そんなJTの採用実績を詳しく見ていきましょう。

 

JTの2022年度の新卒採用における、大学別採用人数を一覧化しました。

 

参考情報として一番右の列に大学群を記載しています。

 

順位 大学名 採用人数 大学群
1 慶応義塾大 10 早慶
2 大阪大 6 東京一工&旧帝大
3 東京大 5 東京一工&旧帝大
京都大 5 東京一工&旧帝大
早稲田大 5 早慶
6 筑波大 4 築横千
九州大 4 東京一工&旧帝大
青山学院大 4 SMART
9 北海道大 3 東京一工&旧帝大
10 東北大 2 東京一工&旧帝大
宇都宮大 2
新潟大 2
金沢大 2
名古屋大 2 東京一工&旧帝大
神戸大 2
広島大 2
明治大 2 SMART
同志社大 2 関関同立
関西大 2 関関同立
20 横浜国立大 1 築横千
和歌山大 1
長崎大 1
横浜市立大 1
都留文科大 1
上智大 1 SMART
東京農業大 1
東京理科大 1 SMART
日本体育大 1
日本女子大 1
法政大 1
星薬科大 1
明治学院大 1
立教大 1 SMART
京都女子大 1
立命館大 1 関関同立
近畿大 1
関西学院大 1 関関同立

 

JTの採用大学分析①:圧倒的に早慶&旧帝大が強い

表を上から見るとわかる通り、JTの採用はかなり高学歴に偏っています

 

1位から10位までをほぼ早慶と旧帝大で占めており、SMARTや関関同立といった私立難関大学でさえも上位に割って入ることができません。

 

JTの学歴フィルターは「旧帝大より下」と言っても過言ではないくらいです。

 

→「SMART」や「筑横千」といった大学群のランキングは下記記事を参照ください。

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JTの採用大学分析②:国立大学からの採用が多い

次に表から気付くことは「国立大学の採用人数が多い」ということです。

 

トップ10には旧帝大がズラッと並んでいるのに対し、11位以降は「宇都宮大」「新潟大」「金沢大」と中堅国立大が並びます。

 

特に宇都宮大は偏差値42~50くらいで、下位クラスと言ってもよいくらいです。

 

他の企業ではここまでレベルの違う大学が並ぶことはあまりなく、珍しいケースと言えるでしょう。

 

これは推測となりますが、JTが元々国営の企業であったことが関係しているのかもしれません。

 

JTの歴代社長は全員東大か京大出身ですし、かつては官僚の天下りポストでした。

 

<参考:JT歴代社長の出身大学>

名前 在任期間 出身大学 備考
初代 長岡實 1985 – 1988 東京帝國大学 元大蔵事務次官
2代 水野繁 1988 – 1994 東京大学 元大蔵省証券局長、元国税庁長官
3代 水野勝 1994 – 2000 東京大学 元大蔵省主税局長、元国税庁長官
4代 本田勝彦 2000 – 2006 東京大学 初の内部昇格
5代 木村宏 2006 – 2012 京都大学 内部昇格
6代 小泉光臣 2012 – 2018 東京大学 内部昇格
7代 寺畠正道 2018年 – 現職 京都大学 内部昇格

 

国立大学からの採用者が多いのも、このあたりが影響しているのかもしれません。

 

というわけで、JTの学歴フィルターは「旧帝大より下(ただし国立であればチャンスあり)」という可能性が示唆される結果となりました。

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