Yahoo知恵袋に下記のような質問がありました。
シンクタンクを受けようと思っているのですが、学歴フィルターはどのくらいあるのでしょうか?
「シンクタンク」とは、もともと政治や経済・科学技術などの分野に対する政策立案や政策提言を行う研究機関のことを指します。
現在では企業に対する経営コンサルティング業務や、システム導入や運用保守といったITサービスを提供しているシンクタンクも多く、
コンサルティング会社やITベンダーとの違いがあいまいになってきています。
そんな「シンクタンク」ですが、就活の時期になると必ず就活生の間で話題になるのが「シンクタンクの採用に学歴フィルターはあるのか?」という疑問です。
そして、もし学歴フィルターが存在するとしたら、どのあたりの大学が引っ掛かるのでしょうか?
徹底調査してみました。
シンクタンクの年収ランキング上位5社の学歴フィルターを分析!
国内には数多くのシンクタンクが存在しますが、
この記事では就活生が気にするであろう「年収の高いシンクタンク5社の学歴フィルター」を調べてみました。
シンクタンクの平均年収ランキングベスト5は下記の通りです。
順位 | 会社名 | 平均年収(万円) |
---|---|---|
1 | 三菱総合研究所 | 1,111 |
2 | 三菱UFJリサーチ&コンサルティング | 901 |
3 | みずほリサーチ&テクノロジーズ | 837 |
4 | 大和総研 | 732 |
5 | 日本総合研究所 | 695 |
番外 | 野村総合研究所 | 1,225 |
巷では「野村総合研究所」をシンクタンクとして扱う記事がほとんどなのですが、この記事ではあえて番外としています。
というのは、野村総研はその売上高の9割以上は情報システムの設計・開発・運用によって支えられており、シンクタンク事業の割合は1割程度です。
会社の名前に「総合研究所」と付いているため「野村総研=シンクタンク」というイメージがあり紛らわしいのですが、今回は番外としました。
三菱総合研究所の学歴フィルターは「日東駒専より下」
三菱総合研究所(三菱総研:平均年収1,111万円)は官公庁・自治体や一般企業に対して調査・研究・コンサルティングサービスを提供する企業です。
三菱総研はシンクタンクと言いながら、売上高の約6割はITサービス(システム開発・保守やアウトソーシング、DX等サービスなど)が占めています。
そのため、せっかくシンクタンクに採用されて研究や調査・官公庁に提言とかできると思っていたら、実はシステムの保守をするだけの仕事でした、みたいな採用のミスマッチが起きることがたまにあります。
就活生はしっかりと企業分析をしたうえで選考活動に臨む必要がありますね。
さて、そんな三菱総合研究所の新卒採用実績は下記の通りです。
青山学院大学、大阪大学、大阪府立大学、お茶の水女子大学、九州大学、京都大学、岐阜大学、慶應義塾大学、神戸大学、国際基督教大学、埼玉大学、静岡大学、首都大学東京、信州大学、上智大学、政策研究大学院大学、千葉大学、中央大学、筑波大学、津田塾大学、電気通信大学、東京医科歯科大学、東京学芸大学、東京工業大学、東京女子医科大学、東京女子大学、東京大学、東京理科大学、東北大学、東洋大学、同志社大学、名古屋工業大学、名古屋大学、奈良女子大学、新潟大学、一橋大学、広島大学、北海道大学、明治大学、横浜国立大学、立命館大学、早稲田大学
東大・京大クラスから採用されている一方、日東駒専から東洋大学が入っていますね。
その他、埼玉大学や静岡大学、新潟大学といった中堅国立大学群、いわゆる「5S」からも採用実績があります。
→5Sって何?という方は、↓の記事で大学群のランキングを押さえましょう。
総合商社や広告代理店といった他の業種と比べると、かなり幅広いランクの大学から採用しています。
→総合商社の厳しい学歴フィルターの現実については下記記事に細かくまとめています。
よって、三菱総研の学歴フィルターは総合商社などの超難関企業と比べると比較的緩く、
日東駒専レベルの就活生でもチャンスがあることがわかりますね。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングの学歴フィルターは「5S・GMARCHより下」
三菱UFJリサーチ&コンサルティング(平均年収:901万円)は、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)のシンクタンク・コンサルティングファームです。
会社の公式サイトを見ても、「シンクタンク・コンサルティングファームです」と名乗っているので、リサーチや政策提言を行うような純粋なシンクタンクというわけではなく、
シンクタンクとコンサルティングファームの両方の仕事をしていると考えた方が良さそうです。
非上場企業のため詳しい情報が公開されておらず、シンクタンク業務とコンサル業務の売上高に占める割合は不明ですが、
新卒採用サイトを見る限り両者の説明ボリュームは同程度で、恐らく同じくらいの割合ではないかと考えられます。
そんな三菱UFJリサーチ&コンサルティングの新卒採用実績は下記の通りです。
青山学院大学、大阪市立大学、大阪大学、大阪府立大学、お茶の水女子大学、関西大学、関西学院大学、学習院大学、九州大学、京都大学、岐阜大学、慶應義塾大学、神戸大学、国際基督教大学、滋賀大学、静岡大学、信州大学、上智大学、千葉大学、中央大学、筑波大学、津田塾大学、東京外国語大学、東京学芸大学、東京工業大学、東京大学、東京農工大学、東京理科大学、東北大学、鳥取大学、豊橋技術科学大学、同志社大学、長岡技術科学大学、名古屋工業大学、名古屋市立大学、名古屋大学、奈良女子大学、奈良先端科学技術大学院大学、一橋大学、広島大学、法政大学、北海道大学、明治大学、横浜国立大学、立教大学、立命館大学、早稲田大学
東大・京大クラスのトップ国立大学から採用している一方で、「岐阜大学」「滋賀大学」「静岡大学」「信州大学」「鳥取大学」のような中堅国立大学からの採用もあります。
国立大学に限定すれば5Sより下、いわゆる駅弁大学からも採用されており、学歴フィルターはそこまで厳しくない印象です。
→駅弁大学って何?という方は下記記事で大学群のランキングをチェック!
一方、低ランクの私立大学を見てみると、長岡技術科学大学(偏差値42.5くらい)から採用されていますね。
その他にも豊橋技術科学大学や奈良先端科学技術大学院大学といった他の難関企業ではあまり聞かないような大学から採用しており、専門性の高い学生を採用していることがわかります。
また、成成明学や日東駒専から全く採用されていないことを考慮すると、私立大学としてはGMARCH・関関同立あたりから下は学歴フィルターにかかっている可能性があります。
みずほリサーチ&テクノロジーズの学歴フィルターは「5S・日東駒専より下」
みずほリサーチ&テクノロジーズ(平均年収:837万円)は、「みずほ情報総研」と「みずほ総合研究所」という2つの会社が合併して2021年に誕生した会社です。
合併元の会社の一つである「みずほ情報総研」はシンクタンクではなく、みずほグループの企業を中心とした顧客にITサービスを提供するITベンダーのような扱いだったので、
合併したみずほリサーチ&テクノロジーズもシンクタンクというより、半分はITベンダーとしてみた方がいいかもしれません。
そんなみずほリサーチ&テクノロジーズの新卒採用実績を見てみましょう。
東京大学、京都大学、東京工業大学、一橋大学、北海道大学、東北大学、名古屋大学、大阪大学、神戸大学、九州大学、早稲田大学、慶應義塾大学、お茶の水女子大学、横浜国立大学、上智大学、千葉大学、筑波大学、東京外国語大学、明治大学、青山学院大学、立教大学、中央大学、法政大学、学習院大学、関西学院大学、関西大学、同志社大学、立命館大学、東京理科大学、首都大学東京、横浜市立大学、電気通信大学、東京都市大学、東京農工大学、東京学芸大学、埼玉大学、長岡技術科学大学、成蹊大学、成城大学、岡山大学、九州工業大学、群馬大学、工学院大学、聖心女子大学、静岡大学、専修大学、大阪教育大学、中京大学、津田塾大学、東京電機大学、東京農業大学、東洋大学、日本大学、明治学院大学
国立大学では埼玉大、静岡大、あたりの5Sが下限と言えるでしょう。
また、私立大学では日本大、東洋大、専修大から採用実績があり、日東駒専レベルが学歴フィルターの下限であると思われます。
大和総研の学歴フィルターは「5S・日東駒専・産近甲龍より下」
大和総研(平均年収:732万円)は大和証券グループの子会社であるシンクタンクです。
シンクタンク、と名乗ってはいるものの、売上高に占めるリサーチや経営提言といったシンクタンク業務の割合は低く、
グループ企業のシステム構築や運用保守といったシステム系の仕事が大部分を占めています。
そのため、シンクタンクというより「金融系のシステム子会社」と呼んだ方が自然かもしれません。
シンクタンクという言葉のイメージで入社を決めた結果、金融システムのコールセンターに配属されて毎日電話対応するはめになった、という口コミもありますので、就活生は事前に企業研究をしっかりとすることが重要です。
なお、このあたりの情報は当サイト担当者が各種転職サポートサービスと契約し、「現役社員による入社前/後のギャップ情報」数百件を分析し、独自にまとめたものです。
東京大学、京都大学、東京工業大学、一橋大学、北海道大学、東北大学、名古屋大学、大阪大学、九州大学、筑波大学、千葉大学、東京外国語大学、東京農工大学、東京通信大学、お茶の水女子大学、東京都市大学、横浜国立大学、横浜市立大学、岩手大学、福島大学、群馬大学、宇都宮大学、埼玉大学、信州大学、静岡大学、名古屋工業大学、大阪府立大学、大阪市立大学、神戸大学、岡山大学、広島大学、高知大学、長崎大学、鹿児島大学、慶應義塾大学、早稲田大学、上智大学、東京理科大学、立教大学、明治大学、青山学院大学、中央大学、法政大学、学習院大学、芝浦工業大学、成蹊大学、東洋大学、津田塾大学、日本女子大学、東京女子大学、昭和女子大学、関西大学、関西学院大学、同志社大学、立命館大学、立命館アジア太平洋大学、近畿大学
国立だと埼玉大、信州大、静岡大といった5Sが下限になっています。
私立では成蹊大、東洋大、近畿大あたりからの採用があるので、「5S、日東駒専、産近甲龍」あたりが学歴フィルターの下限となっている可能性があります。
日本総合研究所の学歴フィルターは「日東駒専・産近甲龍より下」
日本総合研究所(日本総研:平均年収695万円)は、三井住友フィナンシャルグループ(SMBC)のシステム子会社です。
シンクタンク、と名乗ってはいるものの、他のシンクタンクと同様、実際の業務内容は大部分がシステム運用・保守となっています。
「SMBCグループのIT部門」という感じと捉えればよいと思われます。
特徴としては「SMBCグループ以外の企業を顧客としない」という企業ルールがあるため、
日本総研に就職した人は大部分がSMBCグループ内のどこかの企業のシステム案件を担当することにあり、
他の業界や業種のシステムを触ることはありません。
このように書くとデメリットのように聞こえますが、SMBCグループは規模が大きく安定したシステム基盤を持っているため、
安定的に仕事を得ることができるため食いっぱぐれることがない、というメリットもあります。
メガバンクのビジネスモデルが維持されている限り、安泰な職場環境と言えるのかもしれません。
会津大学、茨城大学、岩手県立大学、大阪大学、大阪教育大学、大阪工業大学、大阪市立大学、大阪府立大学、岡山大学、お茶の水女子大学、金沢大学、関西大学、学習院大学、九州大学、九州工業大学、京都大学、近畿大学、慶應義塾大学、甲南大学、神戸大学、神戸女学院大学、滋賀大学、芝浦工業大学、首都大学東京、信州大学、上智大学、成蹊大学、清泉女子大学、千葉大学、中央大学、筑波大学、津田塾大学、電気通信大学、東京大学、東京外国語大学、東京工業大学、東京女子大学、東京都市大学、東京理科大学、東北大学、名古屋大学、名古屋工業大学、奈良女子大学、南山大学、日本大学、日本女子大学、一橋大学、兵庫県立大学、広島大学、法政大学、北海道大学、三重大学、宮城大学、武庫川女子大学、明治大学、横浜国立大学、立教大学、立命館大学、立命館アジア太平洋大学、和歌山大学、早稲田大学
国立だと宮城大(偏差値:45~50くらい)あたりが下限です。
5Sよりもっと下、地方国立大学の下位クラスでも内定がもらえる可能性がありますね。
私立では日本大、近畿大、甲南大あたりの日東駒専・産近甲龍から採用されており、このあたりが下限の学歴フィルターといえるでしょう。
番外:野村総合研究所
一般的には野村総合研究所(通称:のむそう、NRI)もシンクタンクとして扱われることが多いのですが、
前述の通り野村総研の売上高の9割はシステムの設計・開発・運用を行うSI事業によって占められています。
シンクタンク・コンサル事業の割合は1割程度なので、野村総研は実質シンクタンクではなくSIerなんですよね。
ということで、野村総研は今回の記事の対象外としました。
野村総研については別途記事としてまとめたいと思います。
シンクタンクの学歴フィルターは意外と緩いかも
これまで見てきた通り、シンクタンクの学歴フィルターは日東駒専レベル程度であることが多く、
思っていたより緩い印象です。
総合商社や外資コンサルのような超難関企業の場合、GMARCHでも学歴フィルターに引っ掛かるようなケースがありますが、それと比べると中堅大学でも採用されやすいと言えるでしょう。
ただし、それでもシンクタンクは難関企業であることに変わりはありません。
シンクタンクはコンサルっぽいイメージがあり、業務内容も似ている部分はありますが、実際はSIerであることが多いです。
また、社内における「コンサル部門」「シンクタンク部門」「システム部門」は完全に分離されていることが多く、部門をまたいで一緒に仕事をすることはあまりありません。
就活生は企業分析をしっかりと行い、シンクタンクに関する誤解を解いたうえで就活に臨みたいところですね。
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